第1章 数でたどる宇宙の始まり
第1節 宇宙誕生直前とプランク時間
① 序論
宇宙は、何もないところから突然生まれたわけではありません。
現在の物理学では、宇宙が生まれる直前には、
「完全な真空」と呼ばれる特別な状態があったと考えられています。
この真空は、空っぽという意味ではなく、
エネルギーを持った最低の状態です。
その状態が変化することを
相転移(そうてんい)① と呼びます。
水が氷から水に変わるように、
真空も別の状態へ変化し、
それが宇宙の始まりにつながったと考えられています。
② 本論
宇宙誕生直前からプランク時間までの世界では、
私たちが知っている「時間」や「空間」は、
今と同じ意味を持っていません。
この時代の代表的な数値を以下に示します。
| 物理量 | 値(目安) |
|---|---|
| 時間 | 10−43 秒 |
| 温度 | 1032 〜 1033 K |
| 密度 | 1096 kg/m³ |
| 宇宙の大きさ | 10−35 m 程度 |
| エネルギー | 1019 GeV(プランクエネルギー) |
特に温度の 1033 K は、
次のように表される大きな数です。
10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
これは 1 の後ろに 0 が 33 個並んでいます。
この温度では、
原子や粒子という考え方そのものが成り立ちません。
③ 結論
プランク時間より前の宇宙は、
現在の物理学ではこれ以上細かく説明できません。
そのため、
プランク時間は「宇宙を数で語れる最初の瞬間」
と考えられています。
この節では、
宇宙の始まりが「数で表せる世界」へ移る
境界を確認しました。
④ 解説図
図1-1 宇宙誕生直前からプランク時間までの時間構造
真空の相転移
t ≈ −10−43 秒
t ≈ −10−43 秒
プランク時間
t = 10−43 秒
t = 10−43 秒
▶
宇宙はエネルギーを持つ真空状態から相転移を起こし、
プランク時間を境に「数で記述できる宇宙」へと移行した。
プランク時間を境に「数で記述できる宇宙」へと移行した。
->